小学校 道徳教科書の日本文教出版  いきるちから(小学校)の教材、「二わのことり」の内容です。

小学校 道徳教科書

日本文教出版  いきるちから

二わのことり

内容項目 B.主として人との関わりに関すること
友情、信頼
1年生(日本文教出版)
1.本教材について(教材の問題点を中心に) やまがらの誕生日とうぐいすの音楽の練習。どちらを選ぶとなった時、華やかなうぐいすの方を多くの鳥が選んだ。うぐいすは明るいところに住み、やまがらは薄暗いところに住む。みそさざいは、せっかく招待状をもらったのにやまがらのところへ誰も行かないことを気の毒に思い、一度はうぐいすのところへ来たが、自分だけ、やまがらの元に行く。やまがらは誰も来てくれないと失望していたところに、みそさざいだけでも来てくれたので喜び、みそさざいの思いやりの心に感動するのである。
 一見、みそさざいの「思いやり」にやまがらは感動し、「『思いやり』って大切だよね」という終末に何ら問題がないようにも思える。
 しかし、これが本当にやまがらにとっての最善の結果だったのか。みそさざいの行動は、これで本当に良かったのだろうか。次のような問題も考えられる。
➀やまがらは、みんなが来てくれるつもりで、準備をしていたの
 に、用意していただろう「こと」や「もの」は無駄になったので
 ある。つまり、来てくれないよりは、ましだっただけである。
➁やまがらは、「他の鳥たちはどうして来てくれなかったんだろ
 う…」という悲しい思いは 残るであろう。また、みそさざいの
 気持ちはどうか。
➂勝手にみそさざいだけうぐいすの家を抜け出したのだから、後
 日、みそさざいはどうしたのだと聞かれるであろう。場合によっ
 ては、他の鳥たちとの関係性を悪くする危険性もある。
 みそさざいの行動は、本当の意味で相手のことやみんなのことを考えたものといえるのだろうか。また、みそさざいの自己犠牲的な行動のみが正解だという解釈になったとすれば、偏った導きにならないだろうか。
2.本教材実践のヒント(改善への方向性) 子ども達には、このようなジレンマ問題が起こった時、どう行動すれば、相手を思いやることになるかを考えさせたい。初めから、教材文にあることを読んでしまうと。そこにある問題に気づくことは少なるなると考えられるので、みそさざいが行動を起こす前のところまでを提示したい。
 子ども達には、みそさざいの心情や行動を理解させるだけでなく、このような状況になった時、自分の気持ち、やまがら、うぐいす、鳥たちの気持ちを考えるとどのように行動したらよいのかということを考え、話し合わせる。様々な可能性から結末を想像し、選択できるとよい。
 例えば、みそさざいがやまがらのところに行かずに、後で謝るという行動をした場合、やまがらはどう思うのだろう。また、うぐいすの会場を抜け出して、やまがらのところに行った場合、みそさざいのことを、うぐいすや他の鳥たちはどのように思うだろう、などである。
 このような議論の中で、みそさざいは会場を抜け出すのではなく、事情を話し、うぐいすや他の鳥たちも誘って、やまがらのところに行くことを選択肢にすることも気づけるのではないか。
 人とつながっていくために、様々な方法を見出せる力をつけられる授業になればよいと考える。
指導案はPDFをご覧ください。
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